宇宙からの高解像度排出量モニタリングの世界的リーダーであるGHGSat社は、二酸化炭素(CO2)の発生源のモニタリングに焦点を当てた世界初の商業衛星を今年後半に打ち上げる予定を発表しました。現在建設中の「GHGSat-C10」は、同社の先駆的な高解像度メタン探査衛星群で実証されたセンサーと通信技術を使用しています。また、発電所やセメント工場などの産業施設からの排出を定期的かつ反復的に測定することが可能で、CO2の遠隔測定という分野では初の試みとなります。 2月16日(木)17:00〜19:30、イントラリンクのオフィス(内幸町徒歩1分)にて、同社のCROディーパック・アナンド氏を招いた無料のトークイベントが開催されます。席に限りがございますため、ご関心のある方はぜひこちらよりご予約ください。
なぜ、今、炭素なのか?
2016年に打ち上げた同社の実証衛星「Claire」は、二酸化炭素だけでなく、メタン(CH4)も検出するように設計されていました。しかし、炭素に次いで重要な温室効果ガスに関するデータの需要が急速に高まったため、メタンのみに絞ったと言います。 それから6年が経過し、現在6機の衛星が軌道上にあり、コア技術は十分に開発され、サービスも実証済みとなり、GHGSatは、産業排出物のリモートセンシングにおける世界的リーダーとして認知されるほどの成長を遂げました。一方、特に環境および社会的ガバナンス(ESG)の出現により、独立的かつ帰属可能な排出量データへの需要が高まっています。 これに対応するため、GHGSatは、産業排出源からのCO2測定に特化した初の商業用衛星を打ち上げる予定です。「GHGSat-C10」は、メタンを検出する先行機種と同様の光学設計と特許取得済みの赤外線センサーを使用しますが、CO2を検出するための波長に調整されます。
各国の公共衛星との違い
規制当局、投資家、一般市民が、企業に対し直接・間接的な排出量の責任を求めるようになってきており、より優れたCO2データが必要であることに疑いの余地はないでしょう。日本の「GOSATS 1」と「GOSATS 2」、米国の「OCO-2」、中国の「TanSat」など、軌道上にある多くの公共衛星がCO2を検知していますが、「GHGSat-C10」の高感度と25mスケールでの単一サイト帰属の組み合わせを持つ衛星は他に存在しません。同社は、収集したCO2データを同社のSPECTRAプラットフォームにシームレスに統合し、顧客やパートナーが簡単にアクセスできるよう、処理ツールを改良しているところです。
衛星データの活用法
採集したデータは、製鉄所や石油化学コンビナートなど、大量のCO2を排出する産業にとって、特に有益な情報となるでしょう。多くの企業は継続的排出量監視システム(CEMS)を導入しているが、独立した検証を行うことで、日々のオペレーションを最適化し、排出量を削減するとともに、ESG報告の改善が可能となります。また、国内およびグローバルなレベルでは、このデータによって排出量インベントリやグローバルモデルの精度を高めることができます。
今後の展望
同社のCEOを務めるステファン・ジャーマン氏は、「ここ7年間で産業界や公共部門から多くの反響をいただいた。これにより、これまでCO2の陰に隠れて埋もれがちだったメタンガスを、気候変動問題のホットトピックに押し上げることに成功したのです。今度の打ち上げにより、CO2についても同様のリバイバルを果たし、産業界や政府機関へ実際的なツールを提供していきたい」と抱負を語りました。今年後半に行われる打ち上げへの期待が高まります。
出典元:GHGSat社公式HP