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イノベーションインサイト:第108回

イノベーションインサイト:第108回

『TOPPAN、欧州ラグジュアリー市場事業拡大に向けSelinkoを買収』、『スウェーデン、BlykallaとABBの提携で原子力発電を推進』、『サイバーセキュリティのFiligran、3,500万ドルを調達』、『建物の脱炭素化率いるLuxWall、5,100万ドルを調達』、『Redoxblox、「熱化学」エネルギー貯蔵で3,000万ドル調達』、『ロボットフォークリフト開発Third Wave Automation、2,700万ドル調達』、『NTU、大学発ディープテック支援ファンドを共同設立』、『ベトナムアパレルCoolmate、600万ドルのシリーズB資金調達を実施』を取り上げた「イノベーションインサイト:第108回」をお届けします。

TOPPAN、欧州ラグジュアリー市場事業拡大に向けSelinkoを買収 

総合印刷メーカーのTOPPANが、ベルギー発IoT企業のSelinkoを買収したと発表した。2012年に設立されたSelinkoは、主に欧州のラグジュアリー業界向けに、真偽判定、グレーマーケット検知、所有者管理、コンシューマーエンゲージメントなどの機能を持つ、セキュアなNFCタグを使用したID認証プラットフォームを提供しており、そのソリューションは、ワイン、蒸留酒、レザー製品、香水、化粧品、靴、衣料品などの分野で、30以上の高級ブランドに既に採用されている。今回のニュースは、TOPPANが2019年に行ったSelinkoへの出資に続くもので、両社はすでに、SelinkoのID認証プラットフォームを核としたソリューションを国内外の幅広い業界に展開することで協業していた。この買収により、TOPPANはIoTおよびスマートパッケージング分野における製品・サービスポートフォリオの強化、そして欧州ラグジュアリー業界向け事業拡大を加速するとともに、日本、中国、ASEAN市場へのさらなる展開も図る予定だ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スウェーデン、BlykallaとABBの提携で原子力発電を推進 

スウェーデンを拠点に小型モジュール炉(SMR)を開発するBlykallaは、先進的な原子炉技術の開発に向け、グローバルエンジニアリング企業のABBと提携した。2013年設立電気鉛冷却SMR原子炉に特化したBlykallaが持つこのSMR技術は、現在の原子力発電所よりもコストが低く、柔軟性と安全性が強化されたクリーンで信頼性の高いエネルギーをグリッドに提供することが期待されている。一方で、ABBは自動化、電化、デジタル化能力を駆使してBlykallaを支援するとともに、原子力安全規制へのコンプライアンスを確保するためのサイバーセキュリティの枠組みも提供する。この協力関係は、まずスウェーデンにおけるSMRパイロット施設の建設に集中する。スウェーデン政府は、原子力が国内電力の30%に相当するエネルギーを供給していることから、2035年までに原子炉容量を2,500MWに、さらに2045年までには10,000MWまで増強したい意向だ。この分野で協力するBlykallaとABBSMRは今後、スウェーデンの原子力戦略でも重要な役割を果たす可能性がある。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイバーセキュリティのFiligran、 3,500万ドルを調達

パリを拠点とするサイバーセキュリティのFiligranは、最新のシリーズBラウンドで3,500万ドルの資金を確保した。同社は、企業や公的機関が複数のソースから脅威データをインポートし、独自のデータセットを充実させることができるオープンソースの脅威インテリジェンス・プラットフォームを開発する。欧州委員会、FBI、ニューヨーク市サイバー司令部などが同社のソリューションを既に採用している中、同社は現在、侵害と攻撃のシミュレーション・プラットフォームや、脅威管理のための完全なサイバーセキュリティ・スイートなど、さらなる製品の開発に取り組んでいる。なお、Filigranは、2026年までに包括的な製品群を提供し、現代組織が直面する複雑なサイバーセキュリティの課題に対処する脅威管理におけるエンド・ツー・エンドのソリューションを提供する計画で、今回の調達資金の一部は製品開発に加え、グローバル市場でのプレゼンス拡大にも充てられる予定だ。現在同社はフランス、米国、オーストラリアで事業を展開しており、今後ドイツ、日本、シンガポールへも進出する予定だ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物の脱炭素化率いるLuxWall、5,100万ドルを調達

LuxWallは、Climate InvestmentBarclays Sustainable Impact Capitalが主導し、Breakthrough Energy Venturesを含む新規及び既存投資家が参加したシリーズBラウンドで、5,100万ドルを調達した世界の温室効果ガス排出量の38%を占める建物と建造環境において、「窓」が最大のエネルギー損失源と言われる中、LuxWall自社特許技術により、複層ガラスの5倍の断熱効果と、不透明な壁のような断熱特性を持つ真空」の断熱ガラスVIG)を製造している。独自のEnthermalラインは、住宅や建造物のエネルギー損失を最大45%削減し、標準的なガラス製品に比べ3倍の速さで投資回収を実現できるというまた既存の窓枠にも取り付け可能で、グレージングの再施工コストにかかるコストを最大50%削減する。LuxWallは、クリーンエネルギーのサプライチェーンを強化し、国内のクリーンエネルギー製造を加速させるための資金提供先として、米国エネルギー省が選定した米国企業7社の一つでもある。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Redoxblox、「熱化学」エネルギー貯蔵で3,000万ドル調達

業用熱の95%化石燃料供給、世界の炭素排出量の30%を占めるという現状によりこの分野の脱炭素化は、手頃な価格で排出ゼロを実現する代替手段も少なく極めて難題であったそんな中、産業分野における脱炭素化を促進し、送電網の長時間エネルギー貯蔵ニーズに対応するよう設計された、新しい低コスト熱化学エネルギー貯蔵システムTCES)開拓者とも呼ばれるRedoxbloxPrelude Ventures導、Khosla Ventures含む投資家が参加したシリーズAラウンドで、3,000万ドルを追加調、調達資金総額が4,070万ドルとなったRedoxblox技術は、従来のエネルギー貯蔵技術に比べ、より安定性が高く、長寿命、無毒、不燃性、リサイクル可能な素材で構築されており、1,500までオペレーションが可能。そしてリチウムイオン電池に匹敵する変換効率、より高いエネルギー密度、高温空気への直接排出により、化石燃料に代わるものとして電気を効果的に利用することでコスト競争力のある新たなソリューションを提供する 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボットフォークリフト開発Third Wave Automation、2,700万ドル調達

Third Wave Automationは、トヨタのモビリティ技術子会社Woven Capitalが主するシリーズCラウンド2,700万ドル調達し調達9,700万ドルにした。2018年設立同社は完全自律型、隔操作、隔支援、手操作の4つのモードでユーザーが柔軟にフォークリフト操作ができるプラットフォームをしている。労働市場の制約と市場争の激化が加速する中AIによる自律性と人間の専知識を融合させるThird Waveのアプローチは、に変革をもたらしている同社のソリューションは、商品の垂直移と配置を実に自化すると同に、労働効率の最化、安全性の向上、データ主の改善を実現する。トヨタとの提携は、Third WaveAI搭載ソリューションと自律型フォークリフトへのアクセス拡大において、極めて重要な役割を果たすと言われている。より多くのウェアハウス営事者に向けて、生産性の向上、の柔軟性の強化、労働力不足への対応、安全性の向上を実現し、れたROIへの期待が高まる 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NTU、大学発ディープテック支援ファンドを共同設立 

南洋理工大学(NTUとグローバルVCWalden Internationalは、同大学発のディープテックスタートアップを支援するためのベンチャーキャピタルファンドNanyang Frontier Fundを立ち上げることとなった。世界的なベンチャーキャピタリストであり、米国のVCモデルをアジアに導入した功績により、Forbes誌から「アジアのVCのパイオニア」と称されTan Lip-Bu氏が率いるWalden InternationalNTUがそれぞれ379万ドルを出資する同ファンドの目標額は約3,794万ドルで、シンガポール初の大学専用VCとなる。Nanyang Frontier Fundは、NTUおよびシンガポール発のスタートアップを発掘・育成、グローバル企業へと成長させることで、同国のディープテック産業の強化につなげたい意向だ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベトナムアパレルCoolmate、600万ドルのシリーズB資金調達を実施 

先週、ベトナムのD2CメンズアパレルブランドであるCoolmate、Vertex Ventures Southeast Asia & Indiaが主導したシリーズBラウンドを完了した。これにより、同社のグローバル展開や製品イノベーション、東南アジアにおけるオムニチャネル小売網の拡大がさらに加速される見通しだ。2019年設立の同社は、ベトナムの代表的なオンラインD2Cブランドとして急成長を遂げている。同社は国内トップの輸出工場と提携し、高品質なアパレル商品、革新的な製品、手頃な価格設定および並外れたカスタマーサービスで知られている。数年間にわたり、Coolmateはeコマース販売で市場をリードし、ベトナムの消費者から高い支持を受けている。同社の製品ラインナップには、男性向けのスポーツウェア、カジュアルウェア、下着などが含まれ、顧客満足を重視した業界初の60日間返品保証を提供している。ベトナムの国内アパレル産業は、堅調なマクロ経済と消費者行動の変化により約64億ドルの市場価値が見込まれている。急成長する中流階級の消費者層は、ESGへの配慮と手頃な価格を求めつつ、品質とサービスにも強い関心を示している。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イントラリンクについて

イントラリンクは、日本大手企業の海外イノベーション・新規事業開発、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。

植木 このみ
About the Author

植木 このみ

オックスフォード本社を拠点に、プロジェクト実行チームの一員として、日本ならびにアジア大手企業を対象としたマーケティング事業をリードしている。2020年より海外エコシステムの最新情報を日本語で提供する「イノベーション・インサイト」を執筆。また欧州におけるイベント企画・運営も担当。

ラフバラー大学にて国際経営学修士号を取得後、ロンドンの日系企業でEMEA在日本企業の経営ビジネス戦略構築をサポートした経験を持つ。

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