『独p 1KOMMA5°、エネルギー管理ソリューションで過去最高の売上達成』、『Lion Storage、欧州最大級の蓄電池プロジェクトに3.5億ユーロを確保』、『AIワークフロープラットフォームのTines、アイルランド発の新ユニコーンに』、『炭素クレジット市場の活性化目指すChestnut Carbon、1.6億ドル調達』、『ヒューマノイドロボットメーカーApptronik、3.5億ドルを調達』、『Candid Health、医療費請求の簡素化に5,250万ドルを調達』、『インドネシアnoovoleum、UCオイルリサイクルで300万ドル調達』、『インドネシア Liquid8、Eコマース廃棄物に取り組むためのプレシード資金確保』を取り上げた「イノベーションインサイト:第121回」をお届けします。
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ドイツのクリーンテック企業1KOMMA5° は、その売上が2023年の約4億5,000万ユーロから、2024年には過去最高の5億2,000万ユーロに達したと発表した。同社は現在、2030年までにハードウェアとソフトウェアの売上で年間100億ユーロを達成することを目指している。2021年設立の同社は、太陽光発電、電力貯蔵、ヒートポンプ、EV充電ステーションなどのエネルギーに関連するワンストップ・ソリューションを世界7つの市場で展開している。そのコア技術は「Heartbeat AI」と呼ばれるエネルギー管理ソフトウェアで、顧客のデバイスを大規模な仮想発電所に接続し、グリッドと相互作用する。これにより、エネルギー価格が低いときに充電することでエネルギーコストを削減するとともに、電力グリッドにサービスを提供することで顧客に追加の収益源をもたらす。このニュースは、厳しい市場環境にもかかわらず、クリーンテックが依然として大きな収益と成長を達成できることを示している。
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オランダに本社を置くLion Storageは、同社のバッテリー蓄電システム(BESS)「Mufasa」の開発に3億5,000万ユーロの融資を確保した。このBESSは2027年上半期に稼働予定で、石炭火力発電所の高圧送電網への接続を代替する。このシステムは、Teslaのリチウムイオン・ベースの大規模エネルギー貯蔵システムであるMegapack2 XLを採用、350MWの電力容量で1,400MWhを1日に数回充放電することができ、20万世帯分の電力を賄うことができる。またTeslaはエンジニアリング、調達、建設も担当し、長期的なサービスを提供する。さらに、バッテリー運用の専門家として知られるオランダのエネルギー企業Enecoとも提携、同社はオランダ国内の様々な電力市場からの収入に依存する同プロジェクトの日常業務の最適化を支援する。このニュースは、電力網における再生可能エネルギーの割合が増加するにつれて、蓄電池システムの重要性が増していることを示していると言える。
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AIを活用した企業向けソフトウェアを開発するアイルランド発Tinesは、Goldman SachsやSoftBank Vision Fund 2が参加した最新のシリーズCラウンドで1億2,500万ドルを調達し、その評価額も10億ドルを超えたと発表した。2018年に設立されたTinesは、IT、セキュリティ、プロダクト、エンジニアリング、インフラストラクチャの各チームに自動化とオーケストレーション機能を提供し、生産性の向上とオペレーションの合理化を実現するワークフロー・プラットフォームを提供している。同社によると、プラットフォーム内の自動化されたアクションの数は過去1年間で3倍以上に増加し、毎週自動化されるタスクの数は10億件を超えている。また、企業のプライバシーやセキュリティを損なうことなく各社独自のデータにアクセスし、さまざまなチームをサポートするChatGPTのようなAIベースの機能をプラットフォームに追加している。. 顧客には、Dropbox、GitLab、Kayak、OpenTableなどが含まれ、今回の資金調達により、AIとLLMを活用した生産革新のさらなる加速を図るとともに、プライバシーとセキュリティへ引き続き注力していく予定だ。
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自然を活用した炭素除去企業Chestnut Carbonは、米国での植林プロジェクトを拡大するため、カナダ年金運用委員会、Cloverlay、DBL Partnersなどの投資家が参加したシリーズBラウンドで1億6,000万ドルを調達した。これにより、大規模な炭素除去を加速し、自主的炭素市場((VCM)における役割強化を狙う。植林などの自然を活用した炭素除去は、地球規模の気候目標を達成する上で重要な役割を果たすとされており、ある調査によるとに、炭素クレジット市場は2030年までに1,000億ドル、2050年までに2,500億ドルに達する可能性が見込まれている。Chestnutは、劣化した農地を森林に転換し、生物多様性と生態系の健全性を促進することで、1億メトリックトンの炭素隔離を目指す。最新資金は、土地の確保、技術投資、チームの拡大に充てられる。土地の確保や検証遅延などの課題はあるものの、Chestnutの高品質な炭素クレジットと持続可能なアプローチは、炭素除去におけるリーダーシップと、企業の持続可能性への取り組みを推進するだろう。
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Apptronikは、B CapitalとCapital Factoryが共同主導、Googleからの支援も含むシリーズAラウンドで3億5,000万ドルを調達した。同社は、この資金調達でAIロボット開発の規模拡大が可能となり、最終的には自動車並みの価格でロボットを販売することを目指すという。テキサス州発の同社は現在、産業用作業向けに設計された画期的なヒューマノイドロボットApolloの展開に取り組んでいる。今回の資金調達により、Apptronikはロボット開発を拡大し、製造や医療などの分野への応用も視野に入れることが可能になる。人間の日常生活に導入される前には当然、反復的な作業の訓練を経る形だ。Apptronikは、イーロン・マスク氏のTesla Optimusに匹敵するロボット開発に取り組むため、NASAやNvidia、Google DeepMindとも提携し、ロボット技術を推進するAIの開発に取り組んでいる。なお、 Goldman Sachs によると、ヒューマノイドロボット市場は、2035年までに380億ドルに達する可能性が見込まれている。
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米国には1,000社以上の保険会社が存在し、各社からいかに支払いを受けるかを把握することは、医師や病院にとって複雑な課題だ。請求書の提出に不備があると保険適用が却下される中、医療請求の却下件数の大半は、現代の医療の複雑さに追いつくのに苦労するレガシー請求システムプロバイダーが原因となっている。Candid Healthは、請求書の提出を自動化、請求チームの手作業を排除することで医療請求を簡素化することを目指す。 それ以来、同社はAllaraを含む遠隔医療プロバイダー、大規模なメディカルグループを顧客として迎え入れた。そして今回、2024年に収益を250%近く増収した同社が、Oak HC/FTと既存投資家が主導する5,250万ドルのシリーズC資金調達を実現した形だ。Palantirにてデータ分析の威力を身をもって体験したCEOが設立した同社、医療請求は究極的にはデータエンジニアリングの問題だと理解し、最終的には、保険会社に拒否された請求について問い合わせるAI搭載の機能構築についても思案中だという。
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廃食用油(UCオイル)のリサイクルを手掛けるnoovoleumが、 ESGイニシアティブに注力するRigel Capitalが主導したラウンドにて、事業拡大に向け300万ドルの資金を調達した。同社は、サステナビリティと地域社会の強化を重視したリサイクルソリューションの開発を目標に、収益分配モデルを通じて、個人によるオイルのリサイクル参加促進に焦点を当てている。 noovoleum が提供するUCOllectは、家庭や小規模生産者が持続可能で収益性の高い方法でリサイクルできる仕組みを提供しており、独自のテクノロジーとAIソリューションを活用することで、回収プロセスを最適化、UCオイルを廃棄物から価値あるバイオ燃料へと変換する。なお、今回調達した資金は、UCOリサイクルプロセスの改善を図り、持続可能なバイオ燃料への移行を加速させるソリューション開発の加速に充てられる。また、地域社会における参加を促すため、インセンティブ・プログラムも実施される予定だ。
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インドネシア発Liquid8は、2023年の設立後、SPIL Venturesから初となる外部資金調達を成功させた。同社はインドネシアにおいて、Eコマースから排出される廃棄物の対応に取り組む。Eコマースプラットフォームからの配送失敗や返品された商品、特に小規模都市において、出荷された商品の20%以上が顧客に届かないという問題解決に焦点を当て、これらの商品をまとめて割引価格で再販業者や小規模企業に提供するオンラインプラットフォームを構築している。同社は、2024年には2,700トン以上の過剰在庫の処理を行い、そのすべてを無駄にすることなく、より良い価格で販売できる小規模企業に提供してきた。今回新たに調達した資金により、Liquid8は事業規模の拡大と、インドネシアのさらに多くの小規模企業への支援を進めていく見込みだ。
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