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イノベーションインサイト:第36回

イノベーションインサイト:第36回

『APAC投資家、英国エコシステムに数百万ドルを投入』、『Percepto、自立型ドローンによる監視システムで資金調達』、『自律走行型電気トラック輸送のFERNRIDE、3,100万ドルを調達』、『植物を活用した炭素除去技術のCharm Industrial、1億ドルを調達』、『心血管疾患専門のBitterroot Bio、業界過去最高額を調達』,『サイバーセキュリティのBlackpoint Cyber、1.9億ドルを調達』、『マレーシア発PolicyStreet、1,530万ドル調達』、『Antlerが選出、ホットなシンガポール21社』を取り上げた「イノベーションインサイト:第36回」をお届けします。

APAC投資家、英国エコシステムに数百万ドルを投入

今週、アジア太平洋地域(APAC)の投資家600名からなる過去最大規模の使節団が、フィンテック、クリーンテックからライフサイエンス、AIに至るまで、幅広い業界の現地ハイテク企業と会談を行うため、London Tech Weekに参加している。同イベント初日には、マレーシアのコングロマリットであるSunway Groupと、ケンブリッジに拠点を置くディープテックスタートアップを専門とするVC、Deeptech Labsの間で、既にパートナーシップが成立している。また日本のスタートアップであるDatagustoQufooitなど、APAC発のテック企業も本社を英国に移すことを発表しており、英国がビジネスを行う上で最適な場所であるという確信が深まったと言える。また、英国政府からは、APACへの技術輸出拡大、ならびに投資促進に向けた追加支援策として、デジタル・トレード・ネットワーク(DTN)の一環である「UK-APAC Tech Growth Programme」が発表された。これは、APAC地域における英国スケールアップの事業拡大を目指すもので、イントラリンクは、このプログラム運営を正式に英国政府から受注した

Percepto、自立型ドローンによる監視システムで資金調達

イスラエルの自律検査・監視ソリューションプロバイダーであるPerceptoは、最新のシリーズCラウンドで6,700万ドルを確保し、今までの資金調達総額も1億2,000万ドル以上に達した。同社は自律型ドローン、ロボット、AIを活用し、データ収集からAIを使用した分析・考察まで、目視検査のワークフロー全体を自動化する、インフラ現場向けエンドツーエンド目視検査ソリューションを提供している。顧客には、山火事の際に米国通信網の安全監視を支援した通信大手Verizon、熱電発電所において、24時間365日の点検とセキュリティパトロールを行う発電事業者のEnel、さらには資産点検やセキュリティ監視の自動化に取り組むKoch Fertilizerなどを擁する。今回の資金調達に加え、新たな戦略的投資家の参加や、自律型ドローン使用へのアクセスを大幅に向上させる新たな規制などにより、Perceptoは今後自律型ドローン市場が大幅に拡大すると期待を寄せている。

自律走行型電気トラック輸送のFERNRIDE、3,100万ドルを調達

近年の物流業界の大きな課題には、深刻なトラックドライバー不足、CO2排出量の増加、利益率の厳しさなどが挙げられる。現在、欧州だけで40万人のトラックドライバーが不足する中、2026年にはその数が200万人に増加すると予測されている。そんな中、ドイツのFERNRIDEが、ヤードトラック輸送のためのスケーラブルな自動化ソリューションで、シリーズA資金として3,100万ドルを調達した。同社は、必要に応じてオペレーターが電気トラックを遠隔で操作することができる、人間がアシストする自動化アプローチを採用している。FERNRIDEによると、このソリューションは、中断やダウンタイムなしに実稼働にシームレスに統合できるという。過去12ヶ月間で、既にVolkswagen、DB Schenker、BSH、HHLAなどがFERBRIDEの自動運転トラックをオペレーションに組み込んでいる。同社は、今回の資金調達により、既存及び新規の顧客とのグローバルな事業拡大を図るとともに、自律走行ソリューションの技術開発を強化する。

植物を活用した炭素除去技術のCharm Industrial、1億ドルを調達

サンフランシスコにて炭素除去技術を開発するCharm Industrialは、が主導し、LowercarbonExor VenturesKinnevikThrive Capital、Elad Gilなどが参加した最近のシリーズBラウンドで1億ドルを調達した。植物を使って大気中のCO2を回収する同社の技術は、バイオマスを安定した炭素を多く含む液体に変換し、それを地下深くに送り込む。これにより、山火事や土壌浸食、土地利用の変化などの影響を受けず、大気からCO2を永久に除去することができる。今回の資金調達は、6,200トン以上の二酸化炭素除去の成功に続くもので、今後、エンジニアリングとバイオオイルの研究開発活動の拡大、数万台の熱分解機の運用規模拡大、輸送能力の向上などに資金を投入する予定だ。なお、同社はFrontierやJPMorgan Chaseとも、バイオオイルの隔離により、さらに14万トンの大気中CO2の永久除去を目指す契約を締結したばかりだ。

心血管疾患専門のBitterroot Bio、業界過去最高額を調達

カリフォルニア発Bitterroot Bioが、前臨床段階の心血管疾患(CVD)に焦点を当てたバイオテック企業としては史上最高金額とも言われる、1億4,500万ドルという巨額のシリーズAラウンドを完了し、ステルスモードから正式に脱却した。ARCH Venture PartnersDeerfield Managementが主導したこのラウンドには、Google VenturesKoch Disruptive Technologiesなども参加した。この資金は、動脈硬化症に対する新しい免疫療法であるCD47標的タンパク質生物学的製剤「BRB-002」に充てられる。これは、他のCD47標的薬で見られる副作用の可能性を、より少ない必要量で緩和する方法で開発されており、現在のIND-enabling試験段階から、来年中には臨床試験段階に移行できると予想されている。同社は今後、臨床試験実施を経て、社内の研究開発への投資を継続しながら、この製品のパイプラインへの可能性を検討する予定だ。

サイバーセキュリティのBlackpoint Cyber、1.9億ドルを調達

マネージド・サービス・プロバイダー(MSP)を通じて高度なセキュリティ・スイートを提供するサイバーセキュリティ企業のBlackpoint Cyberが、Bain Capital Tech Opportunitiesなどから1億 9,000 万ドルの出資を受けた。2014年に設立されたBlackpointは、サイバー経験とサイバー防衛戦術の深い知識を活用し、MSPが脅威から顧客を保護できるようにする。同社のMDR(Managed Detection and Response)技術は、侵害の最も早い兆候で脅威を迅速に検出して隔離、アラート疲労と偽陽性に費やす時間を同時に排除する。今回の調達資金は、Blackpointが持つセキュリティ技術のさらなる開発に充てられ、MSPパートナーが常に変化する脅威へ対処できるよう支援する。さらに、MSPパートナーがサイバーセキュリティにおいて果たす役割がますます拡大していることから、同社はプラットフォームに新たな製品を追加し、MSPパートナーのセキュリティスタックの簡素化を目指している。

マレーシア発PolicyStreet、1,530万ドル調達

東南アジアにフォーカスしたインシュアテックのPolicyStreet Sdn Bhdが、マレーシア政府系ファンドのKhazanah Nasional Bhdが主導したシリーズBラウンドで、1,530万ドルの調達に成功した。マレーシアに本社を構えるPolicyStreetは、消費者や企業に、デジタルでカスタマイズされた保険ソリューションを提供するフルスタック・インシュアテック企業であり、今回の資金を使用して、事業のさらなる成長促進に向けて、技術と引受能力を強化する予定だという。その一環として、同社にとって3つ目の市場となるオーストラリアへの参入を計画しており、これを東南アジア市場全体における成長の起爆剤とする想定だが、具体的なタイムラインはまだ明らかになっていない。同社は2017年のローンチ以来、累計500万人の顧客にサービスを提供し、マレーシアでは60億ドル以上の保険金を獲得している。そのうち、50万人以上が所得下位40%を指すB40ギグワーカーで、5万社の中小企業(SMEs)も含まれている。なお、PolicyStreetは、今後マレーシアが190億米ドルの保険料市場になると推定している。

Antlerが選出、ホットなシンガポール企業21社

シンガポールを拠点とするスタートアップアクセラレーターのAntlerは、20以上のテクノロジーエコシステムにおいて、革新的な次世代創業者を支援する2億8,500万ドルの新興成長ファンドであるAntler Elevateを先日クローズした。同ファンドは、ロンドン、シンガポール、ニューヨークのオフィスから運営され、野心的な考え方を持ち、製品・市場適合性の強い兆候を示し、複合的な成長のポテンシャルを示す企業に対し、シリーズA以降のスケールアップ資金を提供すると、声明で発表している。同ファンドが出資したシンガポール発スタートアップ企業21社の中には、以下のような企業が名を連ねている。 【フィンテック】 Nook:夫婦向けの共同口座。自分の残高を見失うことなく貯蓄を管理可能 Circlepay:給与所得者が給料日前に稼いだお金を現金化 CashWise :ユーザーアラートと継続的なモニタリングによって保護された所得資産に投資可能 【AI】 Commune:AIを利用し、企業が顧客の管理と対話を容易に Introdex:リードの生成と営業活動を自動化 Persona:航空券の予約、トレーニングの管理、レシピ作りをサポート 【アグリテック】  Farmio:B2Bマーケットプレイスで農家と消費者をつなぐ 【クライメートテック】 Keystone:企業が生物多様性への影響を追跡するためのソフトウェアを構築 【ヘルステック】 Zora:透明で柔軟な価格設定により、手頃な価格の不妊治療を提供 植木 このみ Corporate Innovation Services, Intralink Limited イントラリンクについて イントラリンクは、日本大手企業の海外イノベーション・新規事業開発、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。

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